かぽなーた〜高校数学オンライン問題集〜

高校数学の問題をたくさん集めた問題集です.授業と解説はYouTubeにアップロードしていきます.日々の演習に使ってください.センター試験で満点を目指す人を想定して作っていますが,文理問わず私大の入試レベルや国公立レベルの問題もどんどん出題し,解説していきます.意欲の高い高校2年生・高校1年生にもお勧めです.

【数学1】集合と論証--論証

集合と論証--論証

 

今回のテーマ

集合と論証,最後のテーマは論証です.センター試験で問われることはあまり例がありませんが,対偶の扱い方,背理法の概念は知っておきましょう.

  1. 対偶証明法
  2. 背理法

の二つを扱います.
 

授業動画はこちらをご覧ください

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演習問題

{\fbox{1}\ 次の各命題の,逆・裏・対偶を述べよ。また,その真偽を記せ。ただし\ a,b,x\ は実数とする。\\
( 1 )\ x=3\ ならば,x^2-7x+12=0\\
( 2 )\ 「a\gt 0\ または\ b\gt 0」ならば「ある\ x\ について\ ax+b\gt 0」\\
}

{\fbox{2}\ 次の命題を証明せよ。ただし,a,b\ は実数,n\ は自然数とする。\\
( 1 )\ a+b\geqq 2\ ならば,a,b\ の少なくとも一方は1より小さくない。\\
( 2 )\ ab=2ならば,a\not=0\ かつ\ b\not= 0\ である。\\
( 3 )\ n^2\ が奇数ならば,n\ は奇数である。\\
}

{\fbox{3}\ 次の命題を証明せよ。\\
( 1 )\ \sqrt{2}\ が無理数であることを証明せよ。\\
( 2 )\ 1+\sqrt{2}\ が無理数であることを証明せよ。\\
( 3 )\ \sqrt{3} +\sqrt{6}\ が無理数であることを証明せよ。\\
}

演習解答

{\fbox{1}\ 次の各命題の,逆・裏・対偶を述べよ。また,その真偽を記せ。ただし\ a,b,x\ は実数とする。\\
( 1 )\ x=3\ ならば,x^2-7x+12=0\\
逆:x^2-7x+12=0\ ならば,x=3\\
  偽である。 反例:x=4\\
裏: x\not=3\ ならば,x^2-7x+12\not=0\\
  偽である。 反例:x=4\\
対偶:x^2-7x+12\not=0\ ならば,x\not=3\\
  真である。 証明:x^2-7x+12\not=0\ より,x\not=3,4。\\
( 2 )\ 「a\gt 0\ または\ b\gt 0」ならば「ある\ x\ について\ ax+b\gt 0」\\
逆:「ある\ x\ について\ ax+b\gt 0」ならば「a\gt 0\ または\ b\gt 0」\\
  偽である。 反例:a=-3,b=-2,x=-1\\
裏:「a\leqq 0\ かつ\ b\leqq 0」ならば「全ての\ x\ について\ ax+b\leqq 0」\\
  偽である。 反例:a=-3,b=-2,x=-1\\
対偶:「全ての\ x\ について\ ax+b\leqq 0」ならば「a\leqq 0\ かつ\ b\leqq 0」\\
  真である。 証明:全ての\ x\ について\ ax+b\leqq 0\ が成り立つには,\ a=0,b\leqq 0であればよい。\\
}

{\fbox{2}\ 次の命題を証明せよ。ただし,a,b\ は実数,n\ は自然数とする。\\
( 1 )\ a+b\geqq 2\ ならば,a,b\ の少なくとも一方は1より小さくない。\\
この命題の対偶は,a\gt 1\ かつ\ b\gt 1\ ならば\ a+b\gt 2\ である。\\
a\gt 1\ と\ b\gt 1\ の両辺をそれぞれ足し合わせて,a+b\gt 2\ となるので対偶は真である。\\
従って題意の命題も真であることが示された。 \\
( 2 )\ ab=2ならば,a\not=0\ かつ\ b\not= 0\ である。\\
この命題の対偶は,a=0\ または\ b=0\ ならば\ ab\not=2である。\\
a=0\ のとき,ab=0\not=2であり,\\
b=0\ のとき,ab=0\not=2であるので対偶は真である。\\
従って題意の命題も真であることが示された。 \\
( 3 )\ n^2\ が奇数ならば,n\ は奇数である。\\
この命題の対偶は,n\ が偶数ならば,n^2も偶数である。\\
n\ が偶数であるとき,n=2k\ (k\in\mathbb{N})とかけるので,\\
n^2=(2k)^2=2(2k^2)であり,k\in\mathbb{N}より,2k^2\in\mathbb{N}なので\ n^2は偶数。\\
以上より対偶が真であるので,題意の命題も真であることが示された。\\
}

{\fbox{3}\ 次の命題を証明せよ。\\
( 1 )\ \sqrt{2}\ が無理数であることを証明せよ。\\
背理法により証明する。\\
\sqrt{2}\ が有理数であると仮定すると,\\
   \sqrt{2}=\dfrac{b}{a} (a,bは互いに素な整数,a\not=0)\\
両辺2乗して,\\
\begin{align}
&&2&=\dfrac{b^2}{a^2}\\
&&2a^2&=b^2\\
\end{align}\\}
{左辺は2の倍数なので,b^2\ は2の倍数である。\\
従ってb\ も2の倍数なので,b=2b'\ (b'\in \mathbb{Z})とかける。\\
これを上の式に代入して,\\
\begin{align}
&&2a^2&=(2b')^2\\
&&a^2&=2b'^2\\
\end{align}\\}
{右辺が2の倍数なので,a^2\ は2の倍数である。\\
これより\ a\ も2の倍数となるが,これは\ a,b\ が互いに素であることに矛盾。\\
よって\sqrt{2}\ は無理数である。\\
( 2 )\ 1+\sqrt{2}\ が無理数であることを証明せよ。\\
背理法により証明する。\\
1+\sqrt{2}\ が有理数であると仮定すると,\\
\begin{align}
&&1+\sqrt{2}&=\dfrac{b}{a} (a,bは互いに素な整数,a\not=0)\\
&&\sqrt{2}&=\dfrac{b}{a}-1\\
\end{align}\\}
{ここで,a,b\ が有理数であることから\ \dfrac{b}{a}-1\ は有理数であり,\\
(1)より\sqrt{2}\ は無理数なので,(無理数)=(有理数)となり矛盾。\\
よって\ 1+\sqrt{2}\ は無理数である。\\
( 3 )\ \sqrt{3} +\sqrt{6}\ が無理数であることを証明せよ。\\
背理法により証明する。\\
\sqrt{3} +\sqrt{6}\ が有理数であると仮定すると,\\
   \sqrt{3} +\sqrt{6}=\dfrac{b}{a} (a,bは互いに素な整数,a\not=0)\\
両辺2乗して,\\
\begin{align}
&&(\sqrt{3} +\sqrt{6})^2&=\dfrac{b^2}{a^2}\\
&&9+6\sqrt{2}&=\dfrac{b^2}{a^2}\\
&&\sqrt{2}&=\dfrac{b^2}{6a^2}-\dfrac{3}{2}\\
\end{align}\\}
{ここで,a,b\ が有理数であることから\ \dfrac{b^2}{6a^2}-\dfrac{3}{2}\ は有理数であり,\\
(1)より\sqrt{2}\ は無理数なので,(無理数)=(有理数)となり矛盾。\\
よって\ \sqrt{3} +\sqrt{6}\ は無理数である。\\
}